【映画】いしゃ先生

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【解説・あらすじ】戦前戦後の混乱期に、無医村だった山形県大井沢村(現・西川町大井沢)で生涯を医療にささげ、「仙境のナイチンゲール」とも呼ばれた女性医師・志田周子(ちかこ)さんの人生を、平山あや主演で映画化。山形県の農村で名家の娘として生まれた周子は、努力して東京女子医専(現・東京女子医大)に入学し、医師になった。父からの「スグカエレ」という電報を受けて8年ぶりに故郷に戻った周子は、父・荘次郎が勝手に周子名義で診療所を建設していることを知る。無医村の大井沢村に医師を置きたいと願っていた父は、代わりの者を見つけるまでの3年間だけでも、村で医者をしてほしいと周子に頭を下げる。未熟な自分に診療所の医師が務まるのか不安だった周子も、父の頼みを聞き、3年間だけ頑張ろうと心に決める。2015年11月、山形県で先行公開。(映画.comより)

製作年:2015年
製作国:日本
監督:永江二朗
原作、脚本:あべ美佳
プロデューサー:上野境介、岡雅史
編集:和田剛
音楽:佐藤和郎
主題歌:上野優華
主なキャスト:平山あや、榎木孝明、池田有希子、上野優華、星野凱士、諒太郎、岡雅史、白崎映美、中本哲也、石澤智幸、佐久間としひこ、古川孝、長谷川初範

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【感想】
志田周子なる人物を知る映画としては、一見の価値ありだったと思いました。
映画の出来云々で言えば、正直いろいろと粗もありましたが、民間の方々が中心となって資金を出し合い、地域医療に生涯を捧げた志田周子なる人物を少しでも世の人々に知ってもらおうとした情熱は十分伝わってきた作品でした。
昭和初期、戦前戦後の医療状況なんて私は知る由も無かったですから、なるほどこんな感じだったのかと、勉強にもなった映画でしたよ、って勿論都会と田舎ではまた全然違ったのでしょうが、山間の雪深い集落の医療状況は、資金的な問題も相まってそもそも医者に診てもらう文化自体がほぼ無かった、お札を貼って治るよう祈るのみだったと言う衝撃の事実にとにかく驚かされましたね。
そう言った状況を踏まえて、全ての人が平等に医療を受けられる状況を作ろうと尽力された志田周子さんの生涯は、たくさんの方々に知ってもらう価値があるなと、強く思わされた次第です。

しかし女医と言うだけで、あそこまで無碍な扱いをされるとは・・・今のような時代が来るまでは様々な困難があったんですねぇ、まあ何のことでもそうですが、当たり前のことが昔は当たり前ではなかった、それらを切り開いた先人がいた、そう言った感謝の念だけは忘れずに生きたいものです。
普通に考えたら、村に今まで無かった診療所が出来て、病気を診てもらえるとなったら、今の時代なら相当感謝されそうなものですが・・・。
周子の情熱とは裏腹に、受け入れられない悔しさ、無力感、その辺りの心境は、痛いほど伝わってきました。

ただちょっと惜しいのは、まあ診療所を始めるきっかけがきっかけでしたし、恋人の存在も考えれば分からない訳でもないのですが、この町に残ろうと決意するその描写が、やや中途半端に映ってしまったのは何か勿体無かったなと、この映画だけだと意思の強さがあまり伝わってこないんですよね、本格的に志を持った後半は駆け足でしたし、彼女の功績を称えるなら、もう少し違った見せ方もあったのではないかなと、正直そう思わなくもなかったです、実話ベースだけに仕方ないのかもしれませんが。
あと時代の変化も分かり難かったかなぁ、こう言う映画であまり悪いことは言いたくないのですが。

まあそれにしても、雪深い地域の医療は、今の時代も勿論大変なのは間違いないでしょうが、当時はホント困難の連続だったようですね、ソリを引いて患者を運ぶ描写がとても印象に残りました、舞台となった山形の大井沢は相当な豪雪地帯ですもんねぇ・・・。
そんな地域で国民健康保険制度が始動する頃まで地域医療に尽力された志田周子さんの生涯、とりあえず見て、知っておく価値は十分あると思いました。
主演の平山あやの好演も印象深かったです、それと終盤出てきて更には主題歌も担当した助手の幸子役・上野優華の田舎っぽさも抜群の雰囲気を醸し出していたと思いました、このキャラならもっと多くの出番があっても良かったね。
評価3.5(5点満点中)


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