【映画】物置のピアノ

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【解説・あらすじ】福島県の小さな田舎町の桃農家で、物置に置かれたピアノをめぐって繰り広げられる姉妹の葛藤や成長を描いたオリジナル作品。福島県桑折町の桃農家の次女・宮本春香は、自分とは対照的に美人で優秀な姉の秋葉となにかと比べられて育ち、物置に置かれたピアノを弾いている時だけが、心の安らぐ時間だった。東日本大震災から1年が過ぎた2012年7月、高校3年生の春香は、将来の進路でピアニストになることも考えていたが、昨今の家庭の状況から、その夢を打ち明けられずいた。そんな時、上京していた大学生の姉・秋葉が帰郷してくる。亡くなった命への思いや、風評被害や後継者問題で揺れる農家の実情、浪江町から避難してきた少年との交流、そして姉・秋葉との衝突などから、主人公・春香の中に訪れる変化や、家族との絆を描き出す。(映画,comより)

製作年:2014年
製作国:日本
監督:似内千晶
原作:原みさほ
脚本:斎藤三保、橘内裕人、笠原希
企画・製作:武重邦夫
プロデューサー:佐々木裕二、橘内裕人
音楽:丸山朋文
主題歌:kainatsu
主なキャスト:芳根京子、小篠恵奈、渡辺貴裕、西野実見、平田満、赤間麻里子、神田香織、佐野史郎、長谷川初範、織本順吉、佐々木優和、佐々木祐芽、今江佑翔

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【感想】
地味だし完成度も高いとは言い難い映画でしたけど、今だからこそ改めて考えさせられるようなところもあったりして、地味に心に響いた作品でした。
東日本大震災から6年以上経過した今となっては、もはや全国的には完全に風化してしまった印象なのですが(政治の話題も被災地の復興については全く触れられなくなりましたもんね)、現実は復興への道半ば・・・そんな今だからこそまだ終わってない、震災について、復興について、改めて考えるいい機会をもらえた作品だった気がしました。
風評被害や上辺だけの同情で、どれだけの方が苦しんできたのか、何かと考えさせられましたし、胸が痛みましたよ。

本作は震災から1年半後の福島県桑折町を舞台にして描かれた映画でしたが、福島県最北端に近い場所で、原発からは遠く離れていたとは言え、まあ実際どうだったのか詳しくは知りませんが、劇中見る限りでは相当な風評被害に苦しんだようで・・・。
地元名産の瑞々しくておいしそうな桃も、あんなに拒絶されるなんて、でもあれが現実だったんだろうなと考えると、心が痛む・・・しかし情報が錯綜して混乱していたあの頃は、正直私も福島産を好んでは食べなかったし、小さいお子さんがいる家庭だったら尚更のことだったでしょう。
その分、今は何とか還元してあげたい、そう言ったところで復興を手助けしてあげたいと、本作を見て改めて思わされた作品でしたね。

ただ元々は震災に関係のない話を無理やり震災を絡めて作ったせいなのか、やや詰め込み過ぎて話にまとまりがないと言うか、中途半端に盛り込み過ぎてそれぞれのエピソードが薄味になってしまった印象は否めなかったかなと。
あくまで主人公家族と主人公自身の苦悩・葛藤そして成長物語だけに絞った方が、映画そのものとしてはスッキリして良い仕上がりになった気がしました、でも・・・それだと意味が無いとまでは言いませんが、この作品の価値は高まりませんから、震災を考えると言う意味では、この内容で良かったのかな・・・。

もし主役の芳根京子がブレークしなかったら、この映画はDVD化されることもなかったのでしょうね、本作撮影時は全く無名だったようですから、この映画が全国的に日の目を見たのは芳根京子様々だったのではないでしょうか。
しかし美人の姉に隠れるような地味な子の役って、さすがにそれは無理があったかな、美しくて透明感があって、こんな子がいたら絶対田舎では話題になるはず!
まあしかし小篠恵奈との美人姉妹、目の保養になりました、姉との確執、そして二人の想いがぶつかって迎えたその結末、兄弟姉妹あるあるな部分も含めて、何かとグッと来ました、音楽や淡い恋心や桃農家の話もいいスパイスとなりましたね、「うさぎ」なふるさとの歌も心に響いたなぁ。
まあ何にしても、青春映画として、ヒューマンドラマとして、震災関連映画として、決して完成度は高くなかったですが、素直に見て良かったと思えた作品ではありましたよ。
評価4.0(5点満点中)


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