【映画】忍びの国

sinobi1.jpg

【解説・あらすじ】「のぼうの城」「村上海賊の娘」の和田竜が、戦国時代に伊賀忍者と織田信長軍との間に起こった天正伊賀の乱を題材にした同名小説を、「嵐」の大野智主演、「予告犯」「殿、利息でござる!」の中村義洋監督のメガホンにより映画化。天下統一に向け、諸国を次々と攻め落としていた織田信長が攻め入ることができなかったただひとつの国、伊賀の国。人でなしの忍者衆が住む伊賀の国に暮らす忍者の無門は、伊賀一の凄腕を持つ忍者でありながら、怠け者の性分で、普段は女房のお国の尻に敷かれる毎日を送っていた。そんな中、ついに圧倒的な軍勢を率いた織田軍が伊賀に攻め込んできた。武力、兵力では太刀打ちできない無門率いる忍びの軍団は人知を超えた秘策で織田軍に抗戦する。主人公の無門役を時代劇映画初主演となる大野が演じ、妻のお国役の石原さとみのほか、伊勢谷友介、鈴木亮平、知念侑李らが顔を揃える。ナレーションを山崎努が務める。(映画.comより)

製作年:2017年
製作国:日本
監督:中村義洋
原作、脚本:和田竜
企画、プロデュース:平野隆
プロデューサー:辻本珠子、原藤一輝、下田淳行、藤井和史
音楽:高見優
主題歌:嵐
主なキャスト:大野智、石原さとみ、鈴木亮平、知念侑李、マキタスポーツ、平祐奈、満島真之介、でんでん、きたろう、立川談春、小松利昌、沖田裕樹、國村隼、伊勢谷友介、山崎努(ナレーション)

sinobi2.jpg

sinobi3.jpg

【感想】
軽いノリの時代劇なのは予告編を見て分かってはいましたが、これは予想を大きく上回る軽さ具合だったなぁ。
しかもいまいち感情移入し難いストーリー展開だったので、途中までは正直つまらなくはないけど面白いとも言い難いなと思いながら見ていました、でも終盤は上手いことまとめましたね、中盤までの軽さ、ユルさも、終わってみればいい伏線となって、思いのほかグッと来る話に仕上がっていたなと思いましたよ。
しっかりとしたメッセージ性のある一本筋の通った作品になるなど、中盤までの大野智ショーを見せられていた段階では想像も出来ませんでしたから、まあ意外性も含めて、何だかんだで見終わってみたらまずまず悪くはない映画だったなと思えましたかね。
さすがはハズレが極めて少ない中村義洋監督、今回も見事にまとめ切ったその手腕、お見事でした。

しかし伊賀忍者の設定がとても斬新でした、もっとイメージ的にはストイックな存在だと思っていたので、最初は何だこれ?と思ってしまいましたが、現代風刺の意味も込めたこう言う話に持っていくのなら、これも有りでしょう。
何の感情移入もできないような主人公が、愛によって変わっていく姿も、話の進め方としては良かったです、さすがにアクロバティックなアクションはやりすぎの感も、まあアクション性の薄い忍者物ほどつまらないものはないですから、アイドル映画としての面を持ちながらもしっかりとした一級のエンタメ作品に仕上げたと言う点では、一定の評価はしても良い作品だったのではないでしょうか、ただ個人的には賞賛するには何か足りない気もしてるので、逆に一定の評価以上にはならないのですが。

ちなみに今回主演の大野智については、「怪物くん」は見てないのでよくよく考えてみると初めて演技している姿を見たような気もするのですが、バラエティ番組でよく見るイメージ通りの嵐の大野君って感じで、良く言えばナチュラル、悪く言えば軽く大根が入っていた印象でしたかね。
でも飄々とした姿は役にピタリと嵌った印象で、確かにこの役は大野智以外思い浮かばないかも。
それから激しいアクションについてはお見事の一言でした、伊勢谷友介や鈴木亮平の鬼気迫る演技との温度差も、話の構成を考えればなかなか面白いキャスティングだったなと思いましたよ。
まあ脇がしっかり固められていたからこそ、何だかんだで見れた映画に仕上がったとも言えましょうかね。

少々惜しかったのは、愛が重要な要素になるならば、石原さとみが演じたお国との絡みに、もう一捻り欲しかったかなぁ。
お国のバックボーンももう少し何かあれば・・・でもお国の尻に敷かれる無門の構図自体は微笑ましくて良かったですけどね。
その石原さとみが美しかったのは当然のことですが、出番は少ないながら平祐奈が演じた姫が予想以上に美しかったのも妙に印象に残りました、ってまあ大野智ファンにとってはどうでもいいことでしょうけど・・・。
評価3.5(5点満点中)


↓こちらの応援ポチをしていただけたら嬉しいです!

にほんブログ村

この記事へのコメント

  • 忍び

    面白かったので2回見てしまいましたが、この映画は最低でも2回見るものだなと思いました。
    1回目の時は表面的に、浅い見方で信雄のシーンが泣けたのですが、その後パンフレットや色んなインタビューを読むとその深さに驚いて、2回目は無門とお国のシーンでエンディング曲が終わるまで止まらない涙を流してしまいました。
    インタビューを読むまでそういう事だったのかと気付かなかった自分も恥ずかしいですが、監督曰くかなりの説明シーンを削っているそうです。役者の表情の芝居で全部伝わったから、と。
    平兵衛と戦った後、無門が帰って来た時の表情は監督曰く震える程よかったらしく、撮影順が逆だった亮平くんは「すごかったよ。あの形相を引き出すのはこの戦いだから頼むよ。」とプレッシャーをかけられたそうです。笑
    その良かったという帰ってきた時のシーンは、台本に無門「…」お国「…」無門「…」しか書かれてなくて、プロデューサーが「かなり肝となるシーンなのにこれは不安だ!」とかなり粘ったらしいですが、中村監督も「大野くんなら絶対表現できるから大丈夫だ!」と譲らなかったそうで、そういう所に初見だと気付かずもう少し説明が欲しかったと思うんじゃないでしょうか。
    他にもお国が無門に惚れている事を表すようなシーン、お国がネズミを庇って立ち向かうシーン、百地がお国に激ギレされるシーン、きたろうさんが女装して逃げるシーン(笑)などかなりカットされてるみたいですが、監督は役者をちゃんと信頼してなかったと思ったと嘆いてらっしゃいました。
    是非なにかしら主演の大野さんや監督のインタビューなどを読んで、もう一度ご覧になってみてください。
    それか、いつかテレビ放映されると思うのでその時は「あれ?こんなに良かったっけ?」と思えるかもしれません。
    2度目を見た時の衝撃がとても気持ちよかったのでオススメしてみました。
    この映画で大野さん、伊勢谷さん、中村監督、そして忍びのファンになりました。
    2017年07月15日 03:20
  • スペランカー

    >忍びさん、コメントありがとうございます。
    さすがにもう一度劇場で鑑賞するのは難しいですが、DVD/BD化された際にはまた見直してみたいと思います。
    映画は2回目でまた全然違う感想になったりしますからね。
    何も情報を得ないで見て、次は情報をしっかり入れて見たりすると、また違った楽しみがあったりするから映画は面白いですよね。
    中村監督は怪物くんでも大野さんとコンビを組んでるから、信頼は絶大だったんですね。
    いろいろな情報ありがとうございました。
    2017年07月15日 07:02
  • 忍び

    お返事ありがとうございます。
    確かにこういう事があると本当に映画は面白いなぁと思えます。

    幼い頃に売られてきた無門は孤独で、自覚はなくとも傷を負っていた。だから修行に夢中になって無敵になった。そんな中で出会った初めての宝物がお国だったんですね。
    それにどこか気付いていたお国の最後の「可哀想に」という台詞は単なる同情ではなく「やはりそうだったのね」という受け入れだと解釈したと大野さんが言っていました。
    うろ覚えの説明ですがこの辺りを読んでかなり見方が変わりました。
    ちなみに大野さんが受けた演出はとにかくお国の側にいたい、お国を見ていたいという気持ちでいて。というのと大野智そのままで喋って。というものだったそうです。
    少しでも作りこんだりそれらしく喋ると監督はすぐ気付いて「違う!最初のに戻して」と怒られてたそうです。
    それでもほとんど演出を付けず無門が上忍達に一人土下座をしなかったのも大野さんの判断らしく、意外でしたが大野さんは台本の読解力がかなり優れているらしいです。
    かなり読み込んでるはずだがそんな感じをおくびにも出さず現場にいるのが無門ぽいらしいです。
    確かに管理人さんの仰ってる「怪物くんの時もそうだったからおまかせできる。質問が多かったり、シーンが終わった後(褒められたい、安心したいが故)「大丈夫でした?」が多い面倒な俳優がいると付きっきりになるが大野くんは予習が完璧でそうじゃないから美術や技術に目が行き届く」みたいな事を言っていました。
    監督もあえて「やってきたね」など野暮な事は言わないそうです。
    ちなみに大野さんだけじゃなく、中村組のスタッフは寝ずに必死に考えこんできて現場ではふざける人たちらしく、そういう仕事をする人間が好きらしいです。

    そして平兵衛が「自分が死んでも伊勢の者に手を出すな」と言って始めた「川」。
    監督曰く、無門の心の変化となるシーンを色々散りばめてると言っていましたがわかりやすいのはこのシーンですね。
    その戦いの中で無門は完全に命の重さや人の心に気付いてお国にあの顔、そして百地に「腹が立ってんだよ」と怒鳴ります。
    あれはよくも騙してくれたなというより伊賀の者への不信感、芽生えた気持ちへの葛藤みたいな怒りだったのでは…。(ここは個人的解釈です)
    最後に、伊賀者と現代人をオーバーラップさせるシーンを監督は「虎狼の族達の残酷さや人でなし具合を蔑みつつ笑って見ていた観客が、自分らの事を言っていたのかと気付いてくれたら。」と言っていました。
    最後の「伊賀の血は天下に散った。いつか我らが子、孫と混じり…」という大膳の台詞を、原作で読んですぐ「オーバーラップさせる」とメモしたらしいです。

    読んだ中で頭に残っている事を色々思い出しながら書いてみました。
    読みにくかったら申し訳ありません!
    自分はブログをやってないのでここで書きだしたら色々出てきてしまって。
    またBDなどでご覧になる時の参考になれば…。
    ありがとうございました。
    2017年07月15日 15:32
  • スペランカー

    >忍びさん、再度のコメントありがとうございます。
    たくさん見所を教えていただいたので、今度BDで再見する際にまた読み返して参考にさせてもらいますね。
    貴重な意見、ありがとうございました。
    2017年07月16日 14:57

この記事へのトラックバック

忍びの国
Excerpt: 戦国時代。 伊賀の国(現在の三重県西部)に有力な大名は存在せず、小さな豪族(忍者衆)が内輪争いをしながらも「伊賀惣国一揆」という集団を結成し、一致団結して外敵を駆除していた。 織田信長の次男・信雄は、..
Weblog: 象のロケット
Tracked: 2017-07-09 14:02